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情報の海の漂流者

web上をさまよいつつ気になったことをつぶやいています。

例のレイプレイ事件の前提として

推敲中

最近のレイプレイ関連の議論を読んでいると、何か基本的な前提条件が欠けていたり、アダルトゲームと官能小説、アダルトビデオ辺りの事情の違いが周知されていないようなので、ちょっとしたメモを書いてみる。

はじめに

  • エ ロ ゲ − と書くとアダルト系のスパムにつかまるのでエロゲと表記する。
  • 僕は普段レイプと強姦を使い分ける人だが今回はレイプに統一。*1
  • エロゲは基本的にポルノだが、レーティングの影響で、ポルノ以外の楽しみ方をする人がいる。
  • エロ的に上限に近いエロゲが取り上げられているが、規制論をするならば、エロ的に下限に近いエロゲもセットで考えるべき。
  • とりあえず仮アップ、後で修正する。

ゲームにおける性表現の規制とレーティング

沙織事件


  • 背景

1986年、刑法第177条強姦罪をモチーフにした『177』(マカダミアソフト/デービーソフト)が国会で取り上げられ、激しく非難を受けた。内容自体は当時としても決して奇異なものではなかったが、コンピューターゲームに性的表現を含むものがあることが世に広く知られるに至った。
そして1989年、東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件が起こった。その際の報道において、犯人の部屋を埋め尽くす書籍とビデオが「膨大な量の児童ポルノ」と捏造され報じられたため、世間のアニメや漫画における性的表現に対する批判・嫌悪が急速に強まった。実際にはポルノ書籍などはその内の極少量しかなかったものを、取材クルーが意図的にイメージ操作したことが、2005年11月21日に当時の取材記者のブログで告白されている(関連記事)。
日本の成人向けコンピュータゲームはアニメ・漫画調のグラフィックが主流であるため、俗に言う「アニメや漫画は子供が見るもの」という姿勢からも非難の対象となったのである。

  • 経緯

1991年、京都府の男子中学生が成人向けゲーム『沙織』を万引きするという事件が起きた。本来ならこの少年が然るべき対処を受けて終わるはずであったが、上記で語られたように世は成人向けゲームを否定する方向に傾いていた。「こういったものが万引きを誘発する」という、1970年代に永井豪や手塚治虫などのお色気漫画が受けた「子供に悪影響を及ぼす」と同様の批判が集まった結果、同年11月25日、警察がFAIRYTALE及び親会社のJAST(JUSTではない)の家宅捜索に着手し、当時の社長が猥褻図画販売目的所持で逮捕される。この事件は後に『沙織事件』、或いは社名から『FJ事件』と呼称されるようになった。


沙織事件 - Wikipedia

強調は僕が付けたもの。
過去にこんな事件が起きまして、その関係でゲーム業界は他のメディアに比べて強固な自主規制をしているわけです。*2

普通の恋愛小説でも年齢制限を食らう


男と女が出会う。様々な事件を通じて二人は次第に心を通わせていく。そしてついに想いを伝え、キスをする

これ、ゲームだと年齢制限がかかる可能性があります。キスが性表現の一種とされ、15禁扱いになる場合があるからです*3

彼氏彼女となった二人は初デートで海に行く。彼女は勇気を出して少し大胆なビキニ水着を選んだ

これも、ゲームだと年齢制限がかかる可能性があります。水着や露出の多いコスチュームが性表現の一種とされ、15禁扱いになる場合があるからです

その後順調に交際を続けた二人は一年後思い出の海辺に出かけた。その日二人は同じ部屋に泊まることを決意。結ばれた

これも、ゲームだと多分年齢制限がかかります。セックスが性表現の一種とされ、18禁扱いになる可能性が高いからです。


ところで、この「ゲームで出すとエロゲで成人向けになる話」、ポルノで女性差別だと思いますか?
僕はそう思わないのですが、他の人がどう思うのか興味が有ります。

エロゲをプレイする時に「エロシーンをスキップする」人達

ゲームというメディアでは上記のような、「恋愛小説や少女漫画に毛が生えたような作品」も15禁、18禁になってしまうわけです。
漫画、小説、ビデオ(DVD)とかだと、「ある程度性の要素を含む作品」を一般向けに発表できるんですが、ゲームの場合だと、成人向けで発表せざるを得ない状況があるんですね。
そういう作品を求める人もエロゲを買うわけです。自分の求める傾向の作品が成人向けにしかないのですから。
だからエロゲ界隈にはアダルト作品をプレイしているのにエロシーンをスキップしたり、エロが濃すぎて作品の完成度が落ちたと文句を言う人が出てくるわけです。そのへん興味がある人はHシーンをスキップというキーワードでGoogle検索をしてみると色々わかると思います。*4
アダルトビデオを見る時、Hシーンを飛ばしてみる人は滅多にいないですが、エロゲの場合Hシーンをスキップする人が時々いるのです。
そのへんゾーニングの弊害なのかなと思ったりしています。
またメーカー側にも、Hシーンをスキップしても作品として成立するゲームを作れば、テレビアニメ化、漫画化など、メディアミックスがしやすいという商業的事情があったりします。

エロゲにおいてレイプ表現は禁止されるべきかどうか(個人の考え)

レイプは女性差別だから、エロゲにおいてレイプ表現は禁止されるべきだ、と考える人が居ます。ですがそれはどうなんでしょうか。
ゲームというのは表現の一形態であり、レイプに反対するゲームを作る事も可能なんですよ*5
で、仮にそういうゲームがあったとしたら、そのゲームは題材的に成人向け(エロゲ)扱いになる可能性が高いわけです。
「レイプを題材にしたエロゲ」になっちゃうんですね。
僕はこういうのは女性差別ゲームとは言えないのではないかと考えます。
表現において、「何をテーマにしたか」というのは禁止するか否かの判断として不十分で、それが


「直接的」であるか、「間接的」であるか。
「肯定的」であるか、「否定的」であるか。
「必然的」「自然的」であるか、否か。
テーマとの関連で「主題的」か、「背景的」か。
一般人の観点からみて不合理に嫌悪感を与えないか、反社会的ではないか、扇情的ではないか等が考慮
CERO(Wii プレイステーション XBOX等、コンシューマー向けゲームの業界団体)の禁止表現

すべきではないかと思っています。
これはレイプを題材にしているから差別だとか、いや差別ではないとか大雑把な議論をするにはデリケート過ぎる問題なんですよ。
もう一段階細かく考えるべきではないでしょうか。*6

関連資料

CERO禁止表現


「禁止表現」
<性表現>
1.性器及び局部(恥毛を含む)表現
2.性行為または性行為に関連する抱擁・愛撫等の表現
3.性的欲求を促進、または性的刺激を与えることを目的としている放尿、排泄等の表現
<暴力表現>
1.極端に残虐な印象を与える出血表現。
2.極端に残虐な印象を与える身体分離・欠損表現。
3.極端に残虐な印象を与える死体表現。
4.極端に残虐な印象を与える殺傷表現。
5.極端に残虐な印象を与える恐怖。
<反社会的行為表現>
1.テーマ・コンセプト上必然性の無い大量殺人・暴行を目的としている表現
2.麻薬・向精神薬等の規制薬物で、医療目的等の本来の目的以外に不正に使用されることを肯定する表現。
3.虐待を肯定する前提での虐待シーン表現。
4. 犯罪を賞賛、助長することを肯定する表現。
5.売春・買春等を肯定する表現、児童買春等の表現。
6.近親姦の表現、強姦及びこれに準ずる意に反する性的行為等の直接的な表現、及び肯定する表現
7.未成年による飲酒・喫煙表現を明確に推奨している表現。
8.自殺・自傷を肯定・推奨している表現。
9.不倫を肯定している表現。
10. 人身売買等を推奨している表現。
<言語・思想関連表現>
1. 一般に放送禁止用語・差別用語・不快用語に当たる言葉については、直接並びに間接的な表現や比喩も含み、中傷や蔑称に当たる用語の使用を禁止する。
常識の範囲内で、使用する場面及び前後の成り行きにより必要と認められる場合はこの限りではない。
2.差別を助長する表現・用語
3.実在する人物・国・国旗・人種・民族・宗教・思想・政治団体を敵視または蔑視する表現で、なおかつ一方的に非難・中傷する表現。
<テーマ、コンセプト、システム>
必然性の無い「性」、「暴力」、「反社会的行為」、「言語・思想」の過度な取り扱い。
CERO(Wii プレイステーション XBOX等、コンシューマー向けゲームの業界団体)の禁止表現

必読資料

エロゲ関係
  1. 歴史、体系的知識
  2. 商業的な話

以下のグラフはパソコンゲームの最大規模の業界団体、コンピュータソフトウェア倫理機構(通称ソフ倫)が警察の研究会に提出した統計資料から、平成17年度のジャンル別販売数、タイトル数をグラフ化したものです。

恋愛系のタイトル数がハード系を圧倒していて、一タイトル辺りの販売本数も上回っている事がわかります。
エロをメインとしてないエロゲは、アニメや家庭用ゲーム機への移植といったメディアミックスがしやすいというのも、無視できない話です。

この話題で読むべきエントリー

Equality Nowのエロゲに対する声明を訳してみた。(更新あり) - yuubokuの日記 - 断片部

今回の問題の発端になった声明文の和訳。それと実際に性犯罪が増えるか減るかは(あまり)問題じゃないんだってば - Chambre Resonnanteとそこから続いているエントリ二つは、この問題についてどういう態度を取るべきか判断に役立つと思います

レイプゲーム規制問題について「まじめに」考えるためのまとめ1 - 日常ごっこ

これに対する反応も含めて色々考えさせられる。

id:amamako関連では守るべきもの - 日常ごっこのコメント欄も読んでおくべき。

http://d.hatena.ne.jp/NaokiTakahashi/20090519/p1

コメント欄含む。
氏のブコメも参照。
体系的な知識や歴史的な経緯がわかりやすく書いてあります。

ヘテロの俺こそ性的マイノリティ - Thsc

暴論だし、極論なのですが、決して無視するべきではない何かを持ったエントリー。

*1:英語のrapeには性的暴行以外の意味もあり、強姦と一対一で対応する概念ではない。僕はその辺が気になる人なので、性的暴行をさす場合はなるべくレイプという言葉を使わないようにしています。cf 南京大虐殺を英語でThe Rape of Nankingとか言いますがそれは南京大強姦ではないですよね?

*2:マスコミの印象操作についてはエロを守るより大事なこと - U´Å`Uというエントリが宮崎勤事件の印象操作について言及しているので、興味がある人はそちら参照。また宮崎勤 精神鑑定書―多重人格説の検証 (講談社プラスアルファ文庫)(amazon)という本にもその辺の事が詳しく書いてある。

*3:パソコンゲームは比較的審査が甘いが、家庭用ゲーム機では制限を受ける可能性が高い

*4:もっとも、「恋愛要素が強い純愛系作品にエロを求めない人」でも、エロゲで性欲を処理しないとは限らない。性欲処理用のエロゲと、話を楽しむためのエロゲを区別しているだけの場合があります。エロゲを「純愛」毛と「鬼畜・調教」系に分けて考えているパターンですね

*5:小説やエッセー、ブログ、HP、テレビといった表現方法では、そういう事をやってる人が居ますよね

*6:もちろん、細かく議論したうえでも殆どのエロゲが女性差別的であると判断しうる事には同意はしますが……