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情報の海の漂流者

web上をさまよいつつ気になったことをつぶやいています。

東京電力は2003年原発停止をどう凌いだのか

資料 東日本大震災

震災後の停電騒動の最中、東京電力は2003年に原子力発電所を全て停止したが停電が起きなかった。
でも今回は停電になった、なぜだろう、という話が出ていました。
その件について東京電力の公開している資料を紹介します。

2003年春。確かに原発は止まった。


福島第一原子力発電所6号機の点検停止について


                           平成15年4月14日
                           東京電力株式会社

 当社は、原子力安全・保安院からの「福島第一原子力発電所1号機における
格納容器漏えい率検査の偽装を踏まえた厳格な検査の実施等について」(平成
14年10月28日)にもとづき、「運転中原子力発電所の格納容器漏えい率検査の
ための停止計画」(平成14年12月12日)を提出し、計画的にプラントを停止し
て、格納容器漏えい率検査を実施することとしております。
 福島第一原子力発電所6号機(沸騰水型、定格出力110万キロワット)につき
ましては、4月15日からプラントを停止し、準備を整えた上で、格納容器漏え
い率検査を行いますのでお知らせいたします。
 これにより、当社の保有する原子力発電プラント17基(合計1730.8万キロワ
ット)全てが停止することとなります。

                                以 上

<参考>当社原子力発電所の現況

福島第一・1号機( 46万キロワット)    定期検査中
     2号機( 78万4,000キロワット)  定期検査中
     3号機( 78万4,000キロワット)  定期検査中
     4号機( 78万4,000キロワット)  定期検査中
     5号機( 78万4,000キロワット)  定期検査中
     6号機(110万キロワット)    4月15日から停止予定
福島第二・1号機(110万キロワット)    定期検査中
     2号機(110万キロワット)    定期検査中
     3号機(110万キロワット)    定期検査中
     4号機(110万キロワット)    定期検査中
柏崎刈羽・1号機(110万キロワット)    定期検査中
     2号機(110万キロワット)    定期検査中
     3号機(110万キロワット)    定期検査中
     4号機(110万キロワット)    定期検査中
     5号機(110万キロワット)    定期検査中
     6号機(135万6,000キロワット)  定期検査中
     7号機(135万6,000キロワット)  停止中


TEPCO : プレスリリース | 福島第一原子力発電所6号機の点検停止について

確かに2003年春。東京電力は全ての原発を一時停止しています。
この資料は比較的話題になったようで言及する方も多いようです。
しかし、「ではどうやって対応したのか」という資料はあまり読まれていないようです。

2003原発停止の解説資料

TEPCOレポート2003年春特別号
http://www.tepco.co.jp/company/corp-com/annai/shiryou/report/bknumber/0308/pdf/ts030800-j.pdf
こちらに詳しい情報が載っています。
いくつか引用しましょう。
まず、年表があります

平成14年08月29日GE社より指摘を受けた「当社原子力発電所における点検・補修作業に係わる不適切な取り扱い」について、9月中旬に調査結果を報告する旨公表。

2002年8月末に始まり

平成14年12月12日原子炉格納容器漏洩率検査のためのプラント停止計画を提出。

2002年12月に原子炉停止計画が提出されました。
そして2003年4月15日、プラントが停止。
その後、原子力発電所は順次発電を再開していきます。

平成15年05月07日新潟県知事、柏崎市長、刈羽村長による三者会談を受け、
柏崎刈羽原子力発電所6号機の発電を再開。

つまり、この時の原発全停止とは20日程の期間ということです。
その後他の原発も発電再開していきます。

この時の原発停止は春から行われた。

数値で見る東京電力:電力需要(PDF:180KB) を見れば分かるのですが、4月は一年の中でも電力消費が少ない月です。

最大電力を記録する真夏に比べて電力需要が2000万キロワット以上少なくなっています。
停止した原子力プラントの発電量は合計1730.8万キロワットですから、季節変動よりも少ないわけです。
つまり、電力消費が少ない時期だったので原発抜きでやっていけたというのが理由の一つと考えられます。
プラン提出から実行まで半年もかかった以上、この時期を狙って原発を停止を行なったと考えるべきかもしれません。

他の発電所の稼働率を上げた。

発電所の補修時期を変更、長期停止中の発電所を再稼働、新設発電所の運転開始時期繰り上げ、等により水力・火力発電所の稼働率を上げました。

(注 このイメージ図は僕がpaintソフトで書いた落書きです)
発電所というのは同時にいくつも止まると停電するおそれがあるので、順番にメンテナンスをします。
そのローテーションを調整する等の対策をとったというわけです。
これは短期的には可能ですが、長期的に行うのは難しい方法と言えます。

他の電力会社から計画受電を行った


北海道・北陸・関西・九州・中部といった電力会社から電力を融通してもらいました。


東京電力は2003年の原発停止を、これらの方法により凌ぎ切りました。

では今回は?

今回の場合は、一部の原発に加え、頼みの綱である大型火力発電所が地震や津波の影響で突然ストップしました。
一部の発電所は復旧の目処がたっておりません。
そういう訳で条件は2003年より厳しく、このケースを根拠に今年の電力について語るのは慎重になるべきかと思います。

まとめ(今回との違い)

  • 短期間であった
  • 電力需要が少ない時期であった
  • 計画的であった
  • 火力発電所が健在であった