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情報の海の漂流者

web上をさまよいつつ気になったことをつぶやいています。

避難所と餓死について

twitter


森まさ子自民党議員が国会で質した「南相馬市で10人以上が餓死した」という情報の真偽を、ジャーナリスト出身の民主党議員有田 芳生さんが検証。今後も追加情報がありそう。


Togetter - 「有田 芳生議員による南相馬市餓死騒動の検証」

という話題について。


まず前提知識として、避難所で餓死者が出たという情報はネット上で大量に流通したが、その中には誤報が多く含まれていることは知っておくべきだろう。

例えば辰巳琢郎さんのアメーバブログに2011年03月15日、以下のような記事が投稿された。


「地獄ですよ、辰巳さん…」

安否を心配していた、石巻の友人から衛星電話がかかって来ました。

4年間、東北地方の町おこしを応援する番組を担当していたおかげで、各地に友人がいます。そして彼らの多くが被災しました。心配だけど、何も出来ない自分がもどかしく、ただ過ぎて行く日々。ブログも暫く書けませんでした。でもそれじゃいけない。彼の言葉で目が覚めました。

「この状況を、たくさんの人に伝えて下さい。死体がゴロゴロなんですから。避難所にいるのに、食糧がなく、子供が餓死してるんですよ。お願いします、辰巳さん!


2011年03月のブログ|辰巳琢郎オフィシャルブログ「道草日記ーTakuro’s Michikusa Daysー」by Ameba

この件については、後に避難所ではなく、避難している所の間違いであったと訂正が入っている。
2011年03月21日の記事である。


一カ所だけ間違いがありましたので、訂正と補足をしておかなければなりません。先のブログ『地獄…』の中で僕は、ただ「避難所」と書いてしまいましたが、正確には「指定の避難所」ではなく、「避難している場所」だったみたいです。則ち、取りあえず逃げていた建物を津波が襲い、浸水地帯の中に、島のようにポツンと取り残されていた模様。ほどなく場所は確認され、ほんの少しの食料は届いていたそうです。でも当面はそこに居た方が、周りの惨状から考えて安全だとの判断があったのだと思います。漸く水が引いて、家が残っている人はそれぞれの家へ、流された人は避難所へ、皆さん無事にたどり着かれたそうです。

場所を明かさなかったのは、他にもっと大変なところが沢山あるだろうこと、そして報道陣に殺到されたくないとの、言わば彼の深謀遠慮だったのでしょう。

「子供が餓死」という言葉が、凄まじいエネルギーを持ってネットの世界を、それこそ津波のように広がったことには、発信元として少し反省もしています。しかし想像してみてください。その場に医師もおらず、死因を確定出来る環境になかった彼らが、食べることのできない子供の死を「餓死」と表現した状況を。


2011年03月のブログ|辰巳琢郎オフィシャルブログ「道草日記ーTakuro’s Michikusa Daysー」by Ameba

しかし修正情報は充分に周知されないまま現在に至っている。
避難所の餓死者については、このような例がいくつも存在する。


また、引用文にあるように餓死という言葉は正式な死因として以外に、比喩として使われるケースもある。
その比喩を受け手が真実だと誤認した場合には流言が広がる。


つまり、避難所での餓死が実際よりも多く発生していたと認識しやすい状況がネット上に出来上がっていたと言える。


そのような環境において、「南相馬市で餓死を10人以上確認しました」という新情報がもたらされた。
すると、多くの人が、餓死の多く(もしくは全て)が避難所で出た、と判断してしまったのではないかと考えられる。


また、今回の場合、恣意的なトリミングがあちこちで行われていた。
避難所以外の餓死者が含まれている可能性がある、という情報を意図的、もしくは字数制限などの理由でやむおえなく削ってしまうというケースが複数見られた。


例えば

以下の二つの >>1 を比較してみてほしい。
後者のまとめブログは 2chの >>1 を改変している。

小宮山洋子厚生労働副大臣の発言は以下のように省略されている。

before

小宮山洋子厚生労働副大臣は、「そうした事実は把握していない、
しっかりと調査をするが、これは避難所ではなくて自宅に留まられた方に救援物資が届かなかったと言うケースも考えられるので、今後そうしたことがないように対応していきたい」などと答えた。

after

小宮山洋子厚生労働副大臣は、「そうした事実は把握していない、今後そうしたことがないように対応していきたい」などと答えた。

このまとめブログでは、避難所以外の場所での餓死者が含まれている可能性についての情報が省略されている。
このような例がいくつも存在した。


先入観に加え、避難所以外での餓死者の可能性についての指摘が欠如した情報が出まわることにより、クラスタによっては「南相馬市で確認された餓死者はほとんどが避難所内で発生したものである」という認識されている状況である。


なお、政府が南相馬市の死者について把握していない理由については森まさこ議員のツイートによると、

morimasakosangi南相馬市が、今も死体検分書を保管していることが判明。南相馬市は法務局へ死体検分書を送っていなかった。通常死体検分書は一ヶ月ごとに市町村役場から法務局へ送られる。しかし3月から現在までの死体検分書はまだ法務局へ送られていなかった。そこで‼ (続) #jnsclink

ということで、南相馬市が国会質問時点で、法務局へ死体検分書を送っていなかったためのようだ。
前後の文脈を知りたい方は以下のツイッターまとめ参照のこと


避難所の餓死問題の実態については、自治体が中央に書類を送っていない段階であるので、第三者が正確な情報を把握することは困難な状況にあると言える。