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情報の海の漂流者

web上をさまよいつつ気になったことをつぶやいています。

twitterがデマに対する自衛になっている例

という記事が話題になっていた。


ネット上で根強く蔓延っている噂に、震災後、放射能を恐れて枝野官房長官が家族をシンガポールに逃がしたのでは、というものがあり、それに対して枝野氏側が法的措置も含め、対応を検討している、とのことだ。


僕はネットのデマを検証することを趣味としているため、枝野氏の件についても当時検証しようとしたのだが、あまりに調査が検証が困難すぎて、ギブアップしてしまった。

tarou3109@fut573 枝野氏が家族をシンガポールに非難させたという話もまとめていただけないでしょうか。99%デマなんですけど。link
fut573@tarou3109 そちらは、ちょっと検証大変ですね。link


一方、同じ時期に家族を中国に避難させたという噂がたった蓮舫氏の場合は比較的少ない労力で、検証することができた。


両者の噂の検証コストは主に、プライベートな事をネット上で公開しているか否かで決まった。
蓮舫氏の場合、子供との生活の様子を日常的にTwitterでつぶやいている。
子供のお弁当のメニューに悩む発言が持つ、圧倒的にリアルな「子どもと同居」している母親のイメージの前に、「子供を海外に避難させた」というイメージは太刀打ち出来なかった。
これらの発言によって積み重ねられた、状況証拠の前に噂は力を失った。


それに対して、震災直後、対応に奔走し、帰宅さえままならなかった枝野氏の場合、家族の存在がネット上に露出することはあまり無かった。
(2011年04月18日に、枝野氏が自宅に帰宅し、奥さんの手料理を食べたエピソードが、NEWSポストセブンに掲載されたのだが、この時点で既に枝野氏の噂は拡散しきっており手遅れだったようだ。)


東日本大震災後は官邸と公邸を行ったり来たりだった枝野幸男官房長官(46)。妻の和子さん(42)と子供が暮らす議員宿舎に帰宅できたのは、震災から約2週間後の3月下旬のことだった。


NEWSポストセブン|枝野長官 震災2週間後に初帰宅し妻の手作り餃子を食べる

枝野氏が家族をシンガポールに逃がしたのでは?という噂は2011年3月末の時点で既にネット上に拡散しており、4月の半ばには、二階堂ドットコム等が、この噂の信憑性を高めるような記事を掲載した。

  • 民主党議員が「党内で枝野の家族がシンガポールに避難していることは深刻な問題になっている。」と証言した
  • 「枝野の嫁と子供が震災後、シンガポールにいるという。日本人社会は「枝野はあんなこと言っているけど、やっぱり危険なんだ!」と大騒ぎ。」「こっちではすごい話題になってますよ(シンガポール地元民)」
  • 枝野の家族がシンガポールにいたことは枝野本人が認めていて、さらに民主党の中でも大問題になっている

以上全て、二階堂ドットコムの記事である。
然るべき証人が存在するかのように書き立て、噂の信憑性を高めている。


この手の匿名の関係者による情報というのは、デマや流言のテンプレートであり、慣れた人ならば即座に疑うような形式なのだが、信じてしまう人は多く、これらの情報はネットのあちこちに拡散されていった。


これを見て、「信じてしまった人」に対処するには「枝野氏の家族が日本にいる」というリアルなイメージを持つ情報が有効である。
しかし、当時枝野氏の家族についての有力な情報は殆ど存在していなかった。
その為、カウンター言論に決定力が欠け、検証が困難な状況であった。