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情報の海の漂流者

web上をさまよいつつ気になったことをつぶやいています。

日の丸を使い捨てる「愛国者」たち

世の中にはネット右翼と呼ばれる人達がいて、多数派工作を行ったり、ある種の人や集団に対してネガティブキャンペーンを続けていたりします。

デマを使ったネガティブキャンペーンに効果はあるか。

結論から言うと効果があります。
ほとんどの人は、たとえ信じていなくても、見聞きした情報に影響を受けます。
例えば、カレーを食べている最中に排泄物の話をされると食べる気が失せる、というのはその例です。
食べているのはカレーであって排泄物ではない、というのは分かっていても、連想しただけでネガティブな反応を起こしてしまうのです。
これを考えると、ターゲットの名前とネガティブな概念を結びつける行動はそれなりに効果があるわけです。

ネガキャンにどうやって対抗するのか

ノースウェスタン大学の大学院生が行った実験が参考になると思います。

参加者はまず、マクドナルド社のテレビコマーシャルを見せられる。そしてそのあとで、大学院生の仲間のひとりーー実は仕掛人ーーが噂のタネを撒く。
「マックのCMを見るとミミズ肉の噂を思い出さない?ほら、ハンバーガーにミミズの肉を使っているって例の噂だよ」。そして、実験の参加者にマクドナルドのハンバーガーを食べたいかどうか訊ねる。その噂を聞いた学生は、聞かなかった学生よりも同社をはるかに低く評価した。
次に条件を変えて、噂を伝えたあとに、その噂に反論する事実も伝える(マクドナルド社はこの噂を打ち消すために、全国紙で同様のキャンペーンを展開した)。だが「ミミズ肉は高過ぎてとても採算が合わないよ!」「マックが100%ビーフを使っていることは、食品医薬品局(FDA)のお墨付きなんだから……」といった反論もあまり効果がなかった。「ミミズ肉」の噂を聞いた学生は、聞かなかった学生よりもやはり同社を低く評価したのである。
実験を行った大学院生は、ネガティブな連想の”泥が染みついた”と判断した。だがふたたびポジティブなフレームワークを与えれば、悪い評価がもとに戻るのではないかと考え、「ミミズ肉」の噂を伝えたあとで、「でも、ミミズ肉はフランス料理では高級食材なんだよ」といった。「ミミズ肉の意味を読み解くための、ポジティブなフレームワークを与えたのである。帰っらの狙い通りだった。「フランス料理の高級食材」という新たなフレームワークを与えられたことにより、マクドナルド社の評価は通常レベルにまで回復したのである。大学院生たちは「ミミズ肉ハンバーガー」の”泥を上手く振り払う”ことに成功したのだった


ニコラス・ディフォンツォ『うわさとデマ』p58〜59


ネガティブなデマに対して反証しても、ターゲットの評価は回復しないが、ポジティブなイメージで上書きをすれば、心象が回復するという実験結果です。
検証をし、それはデマだよと事実を指摘するだけでは不足であることが分かります。

日の丸アイコンとデマ

ネット右翼と呼ばれる人達による、真偽を問わずターゲットにネガティブな情報を流し続ける、という行為は当初、ある程度成功していました。
デマに対してカウンターされても、ターゲットとネガティブな概念の結びつきは残るからです。
しかし同時に、デマを厭わない行動は、彼らの象徴である「日の丸アイコン」と「デマを流す人達」というネガティブ概念との結びつきを強化していきました。


その結果、ターゲットになった人達に「デマを流す人達に嫌がらせを受けている被害者」という同情が寄せられることになります。
そして、ネット右翼のターゲットになってことに対する同情が、ネガキャンを上書きするポジティブ概念として受け取られるようになってきました。


こういう状態では、日の丸アイコンを使ったりを使ってバッシングをすることの効果が落ちてきます。
mixiの愛国系コミュニティやmy日本といったネット右翼系SNSに潜入し、書き込みをチェックしてみると、日の丸を付けると警戒されるから、日の丸バッチを外して「普通の人」の振りをして情報発信を続けようという意見がしばしばみられるようになりました。
泥にまみれた日の丸を乗り換え、新たなアバターでネガティブキャンペーンを続けるわけですね。


かくして、日の丸を使い捨てる「愛国者」という奇妙な人達がポツポツと目立ち始めているのが最近の流れだったりします。