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情報の海の漂流者

web上をさまよいつつ気になったことをつぶやいています。

人種差別に反対する人に人種差別を拡散させるテクニック

ソーシャルメディアでしばしば見かける釣りやジョークの中に「本人の思惑とは正反対の情報を拡散させる」というタイプのものがあります。
チェーンメールを防ごうとする人にチェーンメールを拡散させる、という

などが有名です。

  • パッと見た時の印象と、真の意味が正反対になる情報を
  • ソーシャルメディア上で拡散してもらうように依頼する

というのがこのタイプのジョークの基本形です。

という記事で注目されている話は、その手のジョークの典型的な構造を備えています。


ポイントになるのは「ファーストクラス」という言葉。二通りの意味が取れます


1.文字通りのファーストクラスであり、黒人男性はVIP対偶を受けた。周りの人間はそれを拍手で見守った。
2.ファーストクラスというのは、黒人専用席の隠語であり、黒人男性は隔離された。周りの人間はそれをにこやかに見守った。

で、この話はインターネット上で昔から後者の意味を持つ人種差別ジョークとして流通しているんですね。後者の意味合いは消えないと思います。
それに加えてこの一文。

【人種差別に反対の人はシェアしよう】

この話、「一見人種差別に反対する小話に見えるけど実は人種差別ジョーク」を「人種差別に反対する人」に拡散させるための文章に化けるわけです。
改変した人がその辺を意識していたかどうかは知りませんが。
このエピソードが真実は嘘かは別として、こういう釣りのテンプレートがあるということは頭に入れておいたほうがいいかもしれません。

元ネタのエスニックジョークについてもう少し

解説不足だという声があったので補足。
エスニックジョークというのはステレオタイプなイメージを前提します。

で元ネタとして紹介されている文章の場合、南アフリカのヨハネスブルグが舞台であることがポイントになります。

南アフリカ

南アフリカの白人というのは、エスニックジョーク上ではしばしば差別主義者という役割になります。
これは南アにはアパルトヘイトがあったことを下敷きにしています。
南アフリカ共和国であれば、他では通用しない差別的言動が通ってしまう、というのが南アフリカを舞台にしたエスニックジョークの典型となっています。

ヨハネスブルグ

エスニックジョークにおいてヨハネスブルグというのは犯罪発生率の高い、というイメージを利用されがちです。

などが参考になるでしょう。
転じて、ここの住民(特に黒人)は犯罪者予備軍という役割を割り当てられたりするわけです。

特別席のジョーク

特別席というのは他の客と空間的に離れた位置に設置されることが多いものです。
そのため、他の客の迷惑になりそうな客を隔離するという使われ方をすることがあります。
この設定を使って、「実は腫れ物扱いされているだけなのに、それに気付かないピエロ」というジョークが成立します。


日本人観光客「この店は日本人観光客を一番いい席に通してくれる。日本人を歓迎しているいい店だ」
店「日本人観光客はうるさくて他のお客の迷惑だから隔離しなきゃ」

ピエロは誰?

問題のジョークの場合

  • 白人女性がピエロ
  • 黒人男性がピエロ

という二通りの解釈が可能ですが、前者は南アフリカの白人は差別主義者であるというステレオタイプな偏見を助長しますし、後者は黒人差別ジョークですね。
どちらの解釈であっても、人種差別に反対する人が語るのには適さない話だと思います。