の続き。
今回使う資料は全て過去ログからの使い回しなので、常連の方は退屈かもしれませんが我慢してください。
各資料について興味を持った方は保育 生活保護カテゴリーの記事に詳細が載っていますのでそちらを参照してください。
(pcの場合サイドバーから飛べます)
今回は基本的に金銭的コストの話をします。
条件確認
- 母子家庭
- 三児の母
- 下の子は0歳児
- 実家は遠い
- 生活保護費15万円
この条件では働かないほうが得をします。
誰が得をするのかというと、「みんな」が得をします。
さて問題です。
Q 0歳児を保育園に預けると公的コストはいくらかかるでしょうか?
A:生活保護費よりはるかに高く付きます
園児一人にかかる費用と(月額)
クラス 園児1人にかかる費用 0歳児 429,937円 1歳児 208,365円 2歳児 186,233円 3歳児 109,309円 4・5歳児 98,108円
まぁ月額数十万円かかるんですね。
高い地域だと一人月50万を超えています。
(乳幼児の保育については、保育園よりコストが安い方法が模索されていますが、2006年時点ではスタンダードではありません。鳩山政権時代にこの手の改革をする話があったのですが、首相交代と子ども手当の財源問題でうやむやになったと認識しています)
何故こんなにお金がかかるのかというと、0歳児いうのは手間がかかるので、職員一人に付き3人が限界というのが原因です。
園児の年齢が高くなるにつれ、職員一人で対応できる園児の数が増え、コストパフォーマンスが上がります。
乳児の保育は規模のメリット・集中によるコストダウン効果が低いわけです。
それと保育園というのは、仕事に行く前に子どもを預け、仕事が終わった後に迎えに行くシステムなので、親よりも、職員の方が(延べ)労働時間のが長くなり、人件費がかさむというのも大きいです。
人件費というのは、給料だけではなく、法定福利費等も含みます。
法定福利費というのは社会保険や労働保険といった社会保障費のことだと思っていれば、大体あってます。
0歳児を保育園に預けて働き、生活費を稼ぐという選択は、相当時給が高くない限り、公的負担的には赤字なわけです。
うちの母親は母子家庭で生活保護のお世話にならずに育てたのに、みたいな意見もありましたが、子供が3歳になるまでは「生活保護+育児に専念」のほうが、多分「みんなのため」でしたよ。
基本的には働けば働くほど赤字が増えていくので。
(このみんなのためという考え方、僕は大嫌いなのですがね、)
で、生活保護+兼業主婦(夫)というのは、子供が幼いうちは大赤字です。
それと生活保護費の中で一番お金がかかるのは医療費なので、健康を崩されるのはさらにまずい
無茶をさせるとろくなことになりません。
公的コストの話だけをするならば、三歳未満の子どもを持つひとり親世帯の生活保護受給者を働かせるというのは物凄い悪手です。
つまり
生活保護問題に限らず乳児保育というのは金銭的には大赤字だけど、それ以外のメリットがあるからやっているわけです。
人権の問題とか
キャリアの問題とか
職業訓練の問題とか
労働というのは給料の何倍もの経済効果があるとか
クオリティ・オブ・ライフの話であるとか。
集団生活による社会性を身につけるとか
社会からの孤立状態を軽減するとか
色々意味があって、僕は必要な制度だと思っています。
働きたい人は働けたほうがいい
でもね、三歳未満の子供を持つ親に無理して働かせる程の金銭的メリットはないです。
現状では、子育てのある時期において専業主婦(主夫)の方が安く付くことは考慮すべきだと思います。
子どもが小さいうちは生活費を支給して、「お願いですからご自分で子どもの面倒を見てください」とやったほうが安いのに、働かせる意味っなんだろう?
働く意味ってなんだろう?
という議論になるんじゃないかと思います。
個人的意見
この手の問題に対して生活保護のような使い勝手の悪い制度を使わざるを得ない日本の法制度に問題がある。
何らかの改革が必要と考えています。