"『変な給食』『もっと変な給食』(ブックマン社)を上梓した栄養士の幕内秀夫氏が"、"炭水化物だらけで栄養バランスが悪い代表格として"、京都府船井郡の給食を上げたという話。
メニューは、キムチチャーハン、小型パン、わかめスープ、デザート牛乳。幕内氏は、炭水化物だらけで栄養バランスが悪い代表格として、この給食を挙げている。
「この学校の給食メニューは主食・副食・間食に区分けされているのですが、献立表によると主食が小型パンで副食がキムチチャーハン。つまり、米をおかずにパンを食べろ、というわけで、意味が分かりません」(幕内氏)
NEWSポストセブン|主食がパンでおかずがキムチチャーハンという前衛的給食紹介
これに対してdoramao氏は学校給食には決まりがあり、炭水化物だらけのバランスが悪い献立にはならない仕組みになっていると疑問視しています。
この件について色々調べてみました。
「週刊ポストセブン」「幕内氏」「給食」といえば、このブログをいつも読んでくれている方はピンとくるかもしれません。
で取り上げた件と「同じ雑誌」「同じ著者」「同じコーナー」です。
この人どういう事を書いているのかなと思って もっと変な給食のamazonページをみてみると
内容(「BOOK」データベースより)
ここに紹介した献立は、ファストフードやファミリーレストランのメニューではなく、私たちの税金を使って、教育の現場で出されている食事です。子どもは、メニューを選ぶことができず、「残さず食べましょう」と先生に言われて、ハンバーガーやアメリカンドッグ、菓子パンが主食の献立を食べています。文部科学省は給食を「生きた教材」と言っているのに、「子どもが喜ぶからこれでいい」と見過ごしてしまっていいのですか。
とあるようにかなり批判的な立場から学校給食を取り上げている感じです。
再現画像の再現度に疑問を投げかけているレビューに出版社が反論しているあたりがamazonページの見どころですかね。
基本情報の確認。
今回話題になっているメニューについて基本的な情報を確認しましょう。
京都府船井郡の自治体とは京丹波町。給食センター方式を採用しています。
- 京丹波町立小学校 丹波学校給食センター
- 京丹波町立小学校 和知学校給食センター
という二つの給食センターがあります。
火曜日は地元京都産の小麦を一部使用したパン給食を実施していて、それ以外の日は米飯給食です。
麺類を出したい時にはどうするのか? というとパンを小型パンにしてかわりに一人半玉程度の麺料理を加えるのが基本のようです。
日本各地の郷土料理や世界の料理を出す日があり、メニューは中々豊富なようです。
一部小学校がインターネット上で今年度の献立を公開していて、その中に丹波・和知両給食センターの利用校が含まれます。
つまり、インターネット上で基本的な献立を確認できる状況にあります。
そこで両センター利用校から一校ずつ選び、今年度の給食メニューを一つ一つ確認し、米・パン・麺の出現状況をすべて数え上げて集計してみました。
(注:現時点で公開されている分のみ)
小学校A(和知学校給食センター利用校)
種類 | 米だけ | パンだけ | パン+麺 | 米+パン | 米+麺 |
---|---|---|---|---|---|
登場回数 | 120回 | 21回 | 10回 | - | - |
曜日 | 米のみ | パンのみ | パン+麺 | 米+パン | 米+麺 |
---|---|---|---|---|---|
月曜日 | 27 | - | - | - | - |
火曜日 | - | 21 | 10 | - | - |
水曜日 | 31 | - | - | - | - |
木曜日 | 31 | - | - | - | - |
金曜日 | 31 | - | - | - | - |
小学校B(丹波学校給食センター利用校)
種類 | 米のみ | パンのみ | パン+麺 | 米+パン | 米+麺 |
---|---|---|---|---|---|
登場回数 | 112 | 21 | 7 | - | 1 |
曜日 | 米のみ | パンのみ | パン+麺 | 米+パン | 米+麺 |
---|---|---|---|---|---|
月曜日 | 26 | - | - | - | - |
火曜日 | - | 21 | 7 | - | - |
水曜日 | 28 | - | - | - | - |
木曜日 | 28 | - | - | - | 1 |
金曜日 | 30 | - | - | - | - |
例外的に米+麺が一件ありますが、これはベトナム料理のコム・ガーとフォー。
世界の料理シリーズですね。
それ以外は曜日ごとに決められた主食を厳守しているのが分かります。
米+パンの組み合わせは一件も確認できませんでした。
現在の京都府船井郡の給食において、米をおかずにパンを食べる状況が日常的に発生しているとは考えられないと思います。
仮にそんなシチュエーションが起こるとしたら、実は今の制度が出来上がるより前の話であるとか、台風でメニューが急遽変更とか、行事食とか特別食とか、何らかの事情があった可能性が高いでしょう。
そもそもそのメニューバランス悪いの?
doramao氏も指摘していますが、問題のメニューから「小型パン」を除いたものが9月16日のメニューに実在します。
これを見る限り、ここのキムチチャーハンには、「豚肉・キムチ・人参・白ねぎ・白菜・にんにく」が含まれています。
わかめスープには、「ハム・たまねぎ・にんじん・カットわかめ」が入っています。
これにデザートと牛乳を加えると、学校給食のメニューとして何も問題がない献立に見えます。
で、なんで何も問題がない献立に小さなパンを一個加えたら、"炭水化物だらけで栄養バランスが悪い代表格"に変化するのでしょうか?
その辺の根拠が僕にはよくわかりませんでした。
仮に例のメニューが実在しても栄養バランス的に何も問題ない気がするのですが、間違ってますかね?